飼育動物行動調査

目的

飼育動物に最適なエンリッチメントを提供するために「さっぽろ円山動物園」で展示飼育している動物の生態をカメラで収録観察する「映像エソグラム(ethogram)」(※1)に『AI』を導入し、これまで時間を要していたリニアなビデオ操作からの解放と、瞬時に的確な必要映像を検索出来るシステムを開発すること。

※1 エソグラムとは、一つの種の動物の全行動パターンをくわしく記載したもの。動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録で、エソグラムを作ることにより、行動の種間比較や行動連鎖の解析が可能となる。観察にもとづくプロトコルだけでなく、フィルムやビデオテープ・録音テープなどによる記録も含まれる。

資料「AIの現状とAIによるエソグラムの自動作成に向けて」 [PDF:5.39MB]

『AI・エソグラム』がもたらす効果

  1. 動物の行動データ収集作業の簡便化により記録データベースの充実を図ることが出来る。
  2. 豊富な観察データを解析することで飼育動物の健康で安心できる環境を提供するためのエンリッチメント(enrichment)(※2)の体制を強化できる。
  3. 動物園の役割が時代と共に変化している中で豊富なデータは環境エンリッチメントの立案・実施や希少動物の繁殖、新設獣舎計画等に資する。
  4. 当システムの構築により野生下では難しいとされている夜間行動の研究にも貢献し得る。
  5. 1~4のテーマを担うには高度で専門的な人材育成が不可欠だが、その任に当たる「動物専門員」にノウハウを提供する貴重な教材となる。

※2 環境エンリッチメントとは、動物の福祉と健康のために、飼育環境に変化を与えること。飼育動物に刺激や選択の余地を与え、動物の望ましい行動を引き出すこと。又は刺激不足の環境において、種に適切な行動と心的活動を発現させる刺激を与えることなどと定義される。
飼育動物の活動性と行動の多様性を高め、野性と同様の行動を引き出し、望ましくない異常な行動を減らし、環境の肯定的な利用を増やすことを目指して行われる[1]。この目的のために、給餌方法や飼育室構造、他個体や人間との関係などがさまざまに工夫される。

プロジェクトメンバー

  • 札幌市環境局円山動物園 加藤 修 園長
  • 札幌市環境局参与(元旭山動物園園長) 小菅 正夫
  • 北海道大学 大学院情報科学研究科 山本 雅人 教授
  • 北海道大学 大学院情報科学研究科 飯塚 博幸 准教授
  • 北海道大学 大学院獣医学研究科 下鶴 倫人 准教授
  • 日本電気株式会社(NEC)
  • Sapporo AI Lab(さっぽろ産業振興財団)

PDFで確認 [PDF:236KB]

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