お知らせ

2018.09.26

イベントレポート

講演会:札幌市立大学 中島学長が語るAIが知と産業にもたらすイノベーションの世界

この度の北海道胆振東部地震で、犠牲になりました方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地におかれましては、1日も早い復興をお祈りしています。

■開催日日時:2018年9月12日(水)17:00~19:00
■開催場所:space360(札幌市中央区南1条西6丁目20番地1 ジョブキタビル8階)
■講師:札幌市立大学学長 中島秀之
■プログラム
1部:基調講演
2部:Q&Aセッション

2018年9月12日(水)、「AIが知と産業にもたらすイノベーションの世界」と題した講演会を開催しました。


▲会場となった、space360

講師は、日本のAIのトップリーダーとして著名な研究者で、東京大学大学院情報理工学系研究科先端人工知能学教育寄付講座特任教授、公立はこだて未来大学名誉学長、2004年から札幌市立大学学長に就任した中島秀之さんです。


▲札幌市立大学学長、中島秀之さん。「AI関連の学会に出席した時、Tシャツを着ていると仲間だと思ってもらえたので、それ以来こういう場ではTシャツです」と中島先生

当日は、9月6日に発生した北海道胆振東部地震の影響で、余震や節電が続く中でしたが、たくさんの方々が参加してくれました。


▲研究者、エンジニアなど、AIに携わる方々が多数参加

開口一番、中島先生は「『AIが知と産業にもたらすイノベーションの世界』というタイトルだけど、私は『イノベーション』は結果論だと思っているので、この言葉は好きではない。だから、ちょっとだけタイトルを小さく扱ってみました」と笑いを誘い、和やかなムードで講演会はスタートしました。

そもそも「AIとは何か?」という定義では、「コンピュータを用いて人間の知能を研究するもので、知的な作業ができる機会をつくるものである」とし、「では、知能の定義とは?」「情報処理とは?」と、どんどんテーマが深まっていきました。

 

さらに、AIを扱った書籍やテレビ番組、ニュースなどを例に、社会や企業が取り組むべき方向やAIに関わる人材育成などにも話が広がっていきました。

 


▲熱心にメモを取る参加者たち

人類が歩んできた社会構造をテーマとした話では、歴史の加速化が凄まじく、ソサエティー5.0(Society 5.0)から先の世の中を「持論ですが、中島盤ソサエティー5.1では、組織の形態が変わり、政治、経済のシステムが変わる」と予測。

 

ディープラーニングについては、「今のAIはまだ目的を考え出すことはできないので、しばらくはターミネーターみたいな悪意のAIは生まれない」としながら、「メタ推論に深層推論を入れると、自分の目的を考えられるのではないか?と思っている」と、今後のテーマについても話していました。

中島先生が取り組んでいる研究として、公共交通サービスのクラウド化についても話がありました。

 

AIの定義にはじまり、AIを取り巻くテクノロジー、中島先生の推論、そしてこれからの方向性まで、短い時間の中で凝縮した内容の講演会でした。

最後に、アラン・カーティス・ケイ(Alan Curtis Kay)の「未来は予測するものではなく、発明することだ」という名言を取り出し、「私は、この『発明』を『デザイン』に変えたいと思っている」と締めて講演会は終了しました。

その後、質疑応答が行われたのですが、参加者から「待ってました!」とばかりに、さまざまな質問が飛び出しました。


▲講演会後の質疑応答。一人ひとつどころか、二つ、三つと質問が出ました

「大学でのAIの位置づけは?」という質問では、研究費用や人材育成についての懸念点が上げられました。

また、「AIを役立てるために必要なことは?」という質問には、「技術の加速に日本の法律が追い付いていかず、法律が足かせになってしまっている。これを変えない限り、AIでは世界から日本は落伍する」と危機感を募らせていました。


▲すべての質問、疑問に丁寧に応える中島先生

すべての質疑を受け、中島先生は「社会の仕組みをデザインするという方向に向かうために、AIが職業化できないと困る。そのためには、言われたことをそのままやってはいけない。こうすればもっといい!と言える人を増やすのが大切。ベンチャーの中には、それに近い人たちがたくさんいるので、それらを支援することはとても重要」と話してくれました。

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